こんにちは、マサキです。
私たちを悩ませるもの。それはプレゼンテーション。
写真やグラフも間違っていないし、このくらい作り込めば大丈夫だろう!と発表前は思うのだが、たいていの場合、いざリハーサルをしてみると何が言いたいのか良くわからないと指摘を受けたり、本番ではまともに質問に答えられず良くない印象を与えてしまったり。思い出したくもない(嫌な事件だったね…)。
大学生になれば研究成果発表や就活の面接、社会人になれば社内レビューや顧客への提案と、プレゼンテーションの機会はきっと尽きない。でも大丈夫、9割は準備で決まるから。
参考にさせていただいた書籍はこちら:増沢隆太『戦略思考で鍛える「コミュ力(りょく)」』(祥伝社新書、2014)。
結論: コミュニケーションの原則
プレゼンテーションの不安を解消するためには、下記3つのコミュニケーションの原則を達成できているかどうかを確認すればよい。
- 原則 その1:目的設定すること
- 「伝える」ためにキーメッセージを絞る、目的=ゴールも明確化。
- 原則 その2:「相手」目線を持つこと
- コミュニケーションには必ず相手がいる。傾聴で相手も巻きこむ。
- 原則 その3:ロジックが成り立つこと
- 理解の共通化のため、わかりやすく。 正解志向より利益(メリット)志向。
まず、本記事では、コミュニケーションの原則 その1に関して解説していく。
「正解」を当てに行こうとしていないか?!
新卒の就職活動を例にして説明する。
やたらに就活しても結果に結びつかない学生がいたとすると、その学生は就活における「正解」を当てに行こうとしている可能性がある。言い換えれば、自他の成功体験などから何が「正解」であるのかを予測して言動を選択すべきだ、という思考で就活に臨んでいるだろう、ということ。
「え?何がイケナイの?」と思うかもしれないが、結論から言えばこれは避けるべき。なぜならば、
- ライバル(他の学生)も同程度「正解」に辿り着いていると考えるのが普通なので、「正解」当てに注力したところで差がつかないから。
- 想定していなかった質問に満足に対応できず、焦ってしまい、個性が感じられない、適応能力のないなどのマイナスイメージを与えやすいから。
- 企業が求めている人材となること(こんな学生が欲しかった!と思わせること)が就活における「正解」であるが、タイミング(部署内の人員配置や次ビジネスの展望など)によって少しずつ異なるのが普通であり、イチ学生に分かるはずもないから。
「正解」当ての無謀さをおわかりいただけただろうか。
だから、本当の正解、つまり就職活動の目的は自分の中で決めるしかないのだ。
例えば、もし落ち着いて分析的に思考できることが自分の長所だと考えているなら、その長所を欲している会社に出会うことを就活の目的とするのはいかがだろう。
他のプレゼンテーションでも同じだ。存在するかどうかも分からない、あるべき姿を探そうとするのではなく、他でもないプレゼンテーションを行うあなたが、プレゼンテーションの目的を決めなければならない!
「報連相(ほうれんそう)」も目的設定でこう変わる?
職場でのコミュニケーションの基本である、「報連相(ほうれんそう)」。
職場ではとりあえず「重要だからね」と教えられるが、覚えやすい故に言葉だけが独り歩きしている。何を言えば良いか分からないがとりあえず報告やら連絡やら相談が必要なのかなと思って上司に尋ねまくると、嫌がられる(怒られる)。
でも、踏み込んで考えて目的設定を行えば、次のように「報連相」が変わるだろう。嫌がられるどころか、きっと仕事ができる人材だと思われるに違いない。
以下では、報告を例にして考えてみる。何故、報告をするのだろうか?
(依頼された)自分の仕事の出来栄えを上司に確認・評価してもらうためであれば、
「○○終わりました」
→「○○終わりましたが確認していただけますか?」
と改善することができるだろう。
上司が不在の会議等で何が話し合われたかを理解してもらうためであれば、
「○○の会議に出席してきました」
→「○○の会議では、××ついての方針は△△に決まりまして、私たちのグループの担当タスクは**となりました」
と改善することができるだろう。
状況が違えば設定すべき目的は変わる。変わらないのは、コミュニケーションの発信者が考えて目的設定をしなければならない、ということだ。
やったことを紹介しようとしていないか?!
プレゼンテーションの目的を、やったことの紹介に留めていないだろうか?あなたがやったことを紹介して満足する相手といえば、あなたの親くらいなものだ。
やったことを紹介した後、自分はどうしたいのか、または受け手にどうなってほしいのかをよく考えるべきなのだ。
例えば、同じ研究の成果を発表する場合でも、発表の場が異なれば発表の内容を変えるべきだ。卒業論文発表の場であれば、卒業させてもらえるかどうか先生方に判断してもらうのが目的だし、学会発表の場であれば、研究の成果を世に伝えたり聴講者と議論して気づきを受けたりするのが目的だ。
確かに、写真、グラフ、データ等などの事実やそれらから導かれる結論はそのまま使える可能性があるけれど、言語(英語なのか、日本語なのか)はもちろんの事、ストーリー構成(発表する範囲は変えるべきか、何を補助スライドにするか、など)だったり、力の入れどころ(背景や結論のボリュームは変えるべきか、考えられる選択肢や検討内容をどこまで深追いすべきか、など)は一度白紙に戻して考えた方がいい。
目的を考え抜くこと、すべてはここから
プレゼンテーションは、あくまでも、目的ありき。そして、今準備しているプレゼンテーションは、自分が設定した目的を達成できるかどうかを考える。
プレゼンテーションの見直し作業に慣れていなければ、これだけでもかなり重労働になるかもしれない。いろいろ考えるうちに、目的の設定が少しズレていた、と気づくかもしれない。しかし、目的の達成は最優先事項。ぜひ、時間をかけて取り組むべきなのだ。
今の状態で設定した目標が達成できるかどうか分からない!という場合もあるだろうから、いくつかの対処法を示してみたい。参考になれば、これ幸い。
- 一旦、伝える情報を減らす。
プレゼンテーションの枝葉の部分、つまり設定した目的を達成のために必要不可欠な情報以外を削ぎ落とすことで、分かりやすくするのだ。
数十分以上のプレゼンテーションを準備していると、スライド数もおのずと膨らむ。発表者である自分が発表内容を最もよく理解していることもあり、細かいところまで解説しすぎるあまり「木を見て森を見ず」な状態になってしまうものだ。これは仕方のないことだと思う。
では、どうやって必要不可欠な情報を絞り込むのか。もし急に発表時間が1/3に減らされたとしたらどうするかを考えればよい。どの部分(スライド)を残し、どの部分(スライド)を補遺・質疑応答用へ切り替えるのか。この作業で、本論に残らなかった情報は必要不可欠な情報ではない、と考えることができる。
情報が少なければ、主張に筋が通っているか(ロジックが成立しているかどうか)、プレゼンテーションの目的が達成されるかを判断しやすくなる。情報を提示する順番を変えた方が結論を導きやすいのではないかだとか、サークル活動での出来事をどう話したら企業からの内定に結び付くのだろうかとか、今本当に考えるべきことは何なのかに気づけるはずだ。
- 詳しくない人に話して、理解してもらう。
「なるほど」「分かった」と言ってもらうための最短距離を追求する方法としておすすめ。
詳しくない人であることが重要。発表内容に関する知識を持っていると、枝葉の部分に指摘を受けて、プレゼンテーションの改善がそれで終わってしまう可能性がある。
説明に専門用語が使えないので、平易な言葉で言い換える必要がある。実はこれはかなり良いトレーニングで、それはどこまで詳しく専門用語を説明するかを考えなければならないからだ。詳しく説明すればするほどプレゼンテーションを深く理解してもらえるかもしれないが、それだけ時間がかかってしまうし、何より「この人は何が言いたいんだろうか」と思われるのがオチだ。
話す内容を洗練しすぎて、あまりに要素が少なすぎたり、内容が短すぎたりしたときには、相手から質問を受けるだろう。例えば、「○○と言っていたけど、それは何故なの?」という質問は、「○○という主張の根拠である××を説明することは、プレゼンテーションに必要不可欠な要素である」可能性を示唆しているのだ。であれば、××に関して説明するスライドをつくるなどして、本番では話せる準備をすべきだ。
まとめ
プレゼンテーションの準備とは、プレゼンテーションの目的を自分で設定し、その目的を達成できるかどうか、素直に最短距離を追求することである。
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