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「リスク」ってなんだ?-理系でなくても分かるリスク評価の概要

投稿日:2020年11月12日 更新日:

こんにちは、マサキです。

知識は生きるための武器だ。ということで今回は、リスク評価(リスクアセスメント)の概要について説明する。

リスクの定義

リスク(Risk)は、その事象が起こる確率(Probability)と、その事象が起こったことによる結果の影響度(Consequence)との積で表される。

Risk = Probability × Consequence

余談ですが、日本人はリスクという言葉を誤って使用している人があまりにも多すぎる!といつも(心の中で)訴えているが、これは仕方ない。「リスク」の概念を的確に表現する単語が日本語では無いんだろう。ご存知の方がいらっしゃれば、是非コメントを頂きたい。

リスクへの理解

「定義は分かった。でも、何が面白いの?」という方、分かりやすく説明するので焦らないで聞いて欲しい。リスクは、その事象の発生に対してどのくらいの対策をしておけばよいのかを教えてくれる指標なのだ。

影響度がそれほど大きくなくても頻繁に発生する事象に対しては備えなければならない。たとえば、私が電気のスイッチを切り忘れてしまうと、そのたびに電気代が増えていく。1回1回は大したこと無くてもあまりに頻繁であるならリスクは大きいと捉えるべきで、是正しなければ大変なことになってしまう。さらに我が家の場合は、電気の消し忘れにより妻にストレスが溜まり、別の事象に発展し被害が拡大することが考えられるため、よりハイリスクといえる。

また、発生確率は小さくても発生した後の被害が大きい事象に対しては備えなければならない。たとえば、家具などの角や脚に自分の小指を思い切りぶつけてしまうとものすごく痛いし、下手をすれば骨折してしまう。一度経験すれば被害の大きさをよく理解できるはずで、少なくとも数年は暗い場所を寝ぼけて歩かないようにすることだろう。これはリスクが大きいと捉えている証拠だ。

リスク評価を日常生活に置き換えて考えてみたが、分かりにくければ是非コメントをお願いしたい。通常は人間社会を対象とするような、もっとスケールの大きい事柄に使われる。自動車事故(そこそこの確率で発生するものの必ず人が死ぬわけではない)やら地球への隕石の衝突(発生確率を議論するのも困難なほどだが発生すれば被害は甚大)などを考えることもあるようだ。

イメージで表すなら、以下の通り。要は、その事象が起こる確率が高いほど、その事象が起こったことによる結果の影響度が大きいほど、リスクは大きい。この事実を視覚的に分かりやすくしたものをリスクマトリックスという。

図 リスクマトリックス[1]

リスク評価の難しさ

リスク評価の難しさは、予測による影響度を数字で表現しなければならないことにあると思う。逆に言えば、影響度の設定方法をどのようにするかがエンジニア(設計職)の「腕の見せどころ」だ。

発生確率は多くの場合は統計情報を活用すれば比較的簡単に求められる。ところが影響度の評価となるとやや難しい。影響度が定量的に求められなければ、それだけリスクの実用性は薄れる。

最も簡単な解決策は、影響度をお金に換算して評価することだろう。100円で誰でも同じものが買えるため普遍的であるし、200円で100円のものが2個買えるから定量的であるため、影響度の尺度として適切な場面は多いだろう。

何を議論の対象としているのかによっても変わる。人間社会を対象にリスクを考える場合には影響度を死者数で表現できるが、自分自身を対象にリスクを考える場合には影響度を自分自身の死と結びつけて考えることはできない。死んだ後のことは誰にも分からないのだから、死ぬことの影響度は知る由もないからだ(敢えて表現するなら、∞か?)。この考え方に拠れば、どんな僅かな確率でもあるならば死ぬかもしれないことはしないべき、となる。つまり、何もできないまま人生を終えることになる(当然、これは誤りだと思う)。

以上より、リスクを考える場合には、影響度の尺度は何なのか・何を対象として議論しているのかに注意する必要がある。リスク評価は相対的な評価である、といえるだろう。

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